NISAや積み立てNISAは大事って聞くけど、「何のこと?」、「何が違うの?」、「どっちを選べばいいの?」。
このような疑問を持っている人のために、NISAや積み立てNISAについて具体的に解説していきます。
概要を簡単に言うと、NISA、積み立てNISAともに株取引で生じた利益が非課税となる制度のことです。老後に向けた資産形成のため、政府が用意したありがたい制度ですね。まだ始めていない方は、この記事を読んで理解した後、早速口座開設してみましょう!!
※米国がベアマーケット入りしている今は、長期投資にベストな時期です!(2022年5月2日現在)
NISA、積み立てNISAとは
通常、株取引によって利益が生じた場合、譲渡所得として売却益に対し20.315%(復興特別所得税含)の税金が発生し、保有株式より配当金が入った場合、配当所得として配当金に対し20.315%の税金が発生します。
NISAや積み立てNISAでは、これらの税金が発生せず、効率よく資産を増やすことが可能となります。
ちなみに、NISAは「Nippon Individual Saving Account(日本版個人貯蓄口座)」の略です。
では、この制度のありがたみを理解するため、具体例を挙げて説明します。
【具体例】
100万円で購入した株が5年後に150万円となり、売却する場合の売却益とその税金は、次のようになります。
・売却益(例):50万円
⇒税金(20.315%):10万円
また、5年間の配当金合計が30万円だった場合、その税金は次のようになります。
・配当金の合計額(例):30万円
⇒税金(20.315%):6万円
この例の場合、10+6=16万円だけ税金が引かれるはずですが、NISA口座であれば、売却益・配当金ともに非課税となるため、16万円の節税となります。
![](http://moneysupple.com/wp-content/uploads/2022/05/image-22-1024x388.png)
このように、NISA口座で取引することにより、大きな節税効果を得ることができる。
NISAと積み立てNISAの違い
NISAと積み立てNISAの違いを下の表にまとめます。
NISA口座に関しては、2024年より新NISAとなります。老後に向けた長期的な運用を促すため、積み立てNISAの要素が組み込まれる形になりました。
NISA(~2023年) | 新NISA(2024年~) | 積み立てNISA | |
非課税期間 | 5年間 (*ロールオーバーにより10年) | 5年間 (*ロールオーバーにより10年) | 20年間 |
非課税枠 | 120万円/年 | 2階部分 102万円/年 1階部分 20万円/年 | 40万円/年 |
投資可能期間 | 2014年~2023年 | 2024年~2028年 | 2018~2042年 |
対象商品 | 上場株式 ETF 投資信託 REIT | 2階部分 従来NISAと同様 1階部分 積み立てNISAと同様 | 積み立て対象の投資信託 |
引き出し制限 | なし | なし | なし |
損益通算 | 不可 | 不可 | 不可 |
NISAと積み立てNISAの大きな違いは非課税期間と非課税枠です。NISAは5年×120万円/年(買い付け可能額600万円)に対し、積み立てNISAは20年×40万円/年(買い付け可能額800万円)となります。また、NISAと積み立てNISAでは、購入可能な商品に違いがあります。NISAは上場株式からREITまで幅広い商品を購入できますが、積み立てNISAでは、積み立て向けの投資信託のみ購入可能です。これらのことから、NISAは短中期、積み立てNISAは長期運用に向いていると言えます。自分の投資スタイルに合わせてNISA、積み立てNISAを選択するとよいと思います。ただ、1年に1度、NISAと積み立てNISAを再選択できるため、最初は深く考えずに選択してもよいかもしれません。
ちなみに、NISAも積み立てNISAもiDeCoと異なり、引き出し時の年齢制限はありません。また、損益通算ができないことに注意が必要です。損益通算できないため、塩漬け株(含み損のまま放置している株)を作ってしまうと、非課税期間中に利益を上げられず、NISAのメリットを十分享受できなくなってしまいます。NISA口座であっても適切に損切りする必要があります。
ここで、NISAは2024年より、積み立てNISAの要素を取り入れた新NISAに変わります。大きな変化点は、非課税枠における投資可能商品です。新NISAは、1階部分と2階部分に分けられ、1階部分では20万円分の積み立てNISA対象商品が購入可能となり、2階部分では102万円分の従来NISAと同様の商品が購入可能となります。
※2階部分を利用するためには、原則として、1階部分を利用する必要がありますが、投資経験のある人は2階部分のみ使用することも可能です。
![](https://moneysupple.com/wp-content/uploads/2022/05/新NISA.png)
先ほどNISAの非課税期間は5年と述べましたが、NISAはロールオーバーという仕組みを使うことで、非課税期間を10年に延ばすことが可能です。ロールオーバーの仕組みを説明します。
NISAのロールオーバー
NISA口座で非課税期間が満了となった商品は、新NISAの非課税枠にロールオーバーすることが可能です。この時、現在の価格が非課税枠を超えていても全額ロールオーバー可能ですが、その年に非課税枠を用いて追加投資を行うことはできません。つまり、ロールオーバーした場合、非課税期間は10年に延長しますが、新規買い付け可能額はほぼ増加しません。(NISA時代からのトータル買い付け可能額610万円)ちなみに、新NISAで購入した商品が非課税期間を満了した場合、1階部分のみ積み立てNISA口座に購入時の価格でロールオーバーすることができます。積み立てNISAは2042年まで購入可能であるため、「NISA上限まで投資⇒非課税中に一部利確&新NISAロールオーバー&1階部分で積み立て商品購入⇒積み立てNISAに移行」が1番節税効果が高いと思います。
下にロールオーバーの例を示します。3年分の動きを解説します。例では、2022年に購入した120万円分のNISA対象商品が5年で175万円に成長し、2027年に全額ロールオーバーしています。ロールオーバーしない場合は売却or特定/一般口座へ移動することも可能です。この時、この年の非課税枠を超過しているため、2027年に新規購入はできません。一方、2023年購入分は、2028年のロールオーバー時に非課税枠内であるため、追加で79万円分購入することができます。また、2024年に購入した122万円分の商品は、1階部分は積み立てNISAにロールオーバーし、2階部分は売却or特定/一般口座へ移動しています。
![](https://moneysupple.com/wp-content/uploads/2022/05/NISA-1-1024x352.png)
このように、ロールオーバーすることで、NISA口座の非課税期間延長ができます。また、新NISAを活用し、1階部分で積み立て⇒積み立てNISAにロールオーバーという方法も節税に有効だと思います。
NISAと積み立てNISA、どちらを選べばよいか
それぞれのメリット・デメリットを以下にまとめます。
NISA | 積み立てNISA | |
メリット | ・投資対象が豊富 ・新NISAを使えば、短中長期全て対応可能 ・自由なタイミングで買い付け可能 | ・非課税期間が長く、複利の効果を狙いやすい ・買い付け可能額が多い ・自動積立により、投資タイミングを考えなくてよい |
デメリット | ・非課税期間が短く、複利の効果が小さい ・買い付け可能額が少ない | ・投資対象が限定的 ・自動積立の場合、自由なタイミングでの買い付け不可 |
こんな人におすすめ | ・短中期運用をしたい人 ・自由に投資タイミングを考えたり銘柄選定をしたい人 ・ロールオーバー手続きを面倒がらない人 ・取引額がNISA内に収まる人 | ・長期運用をしたい人 ・投資タイミングや銘柄について考える時間のない人 ・ロールオーバー手続きが面倒な人 ・個別株の売買回数が多い・額が大きい人(NISA向きでない) |
基本的には、想定する運用期間に応じてNISAか積み立てNISAを選択するのがよいと思います。また、投資タイミングや銘柄について考える時間があるか、知識があるかどうかも選択基準となります。さらに、ロールオーバー手続きに対する考え方も一つの基準だと思います。投資にあまり時間をかけたくない人は、一度設定したら放置しておける積み立てNISAの方がよいでしょう。別の視点だと、個別株を大きく運用する人、売買回数が多い人などは、NISAの枠をすぐに超過するでしょうし、損切りも行うでしょうから、相対的に積み立てNISAの方がよいと思います。これらの基準から、自分に合ったやり方を選択してみてください。